研究

Visualizing Taste: How Business Changed the Look of What You Eat

(ハーバード大学出版局、2019年)

 ハグリープライズ受賞(ビジネスヒストリーカンファレンス、2020年)

 清水博賞受賞(日本アメリカ学会、2020年)

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19世紀末以降の米国で、工業化と消費主義社会の拡大が進む中、人々の五感経験がいかに変化したのか、また感覚が企業の生産・マーケティング戦略においていかなる役割を果たしてきたのか分析しました。特に、食べ物(農産物および加工食品)の色に焦点を当て、視覚や味覚など感覚に関する認識が歴史的産物として構築される過程に注目しています。消費者が考える(また無意識に感じとる)「自然な(あるべき)色」を再現するため食品企業や農業生産者がいかに色を操作してきたのか、さらに人工的に作られた色を消費者がいかに「自然な」ものとして認識するようになったのか論じています。新たに作り出された視覚環境は、単なる企業戦略や技術変化に留まらず、人々の周辺環境や自然に対する認識の変化を伴うものでした。

視覚化する味覚:食を彩る資本主義

(岩波書店、2021年)

Visualizing Tasteを発展させ、日本の事例も含めながら、食べ物の色が作られてきた歴史を紐解くとともに、その歴史が現代社会にどのような意味を持っているのか論じています。

現在の研究プロジェクト

資本主義社会における「エステティクス」の変遷とその役割をテーマに研究しています。ここで取り上げるエステティクスとは、日本語で一般的に訳される「美学」の意ではなく、その語源である古代ギリシャ語「アイステーシス」が意味する感覚的・感性的認識を指します。つまり、18世期以降の西洋哲学、特にカントの美的認識論や、芸術、視覚的要素のみではなく、人々の五感を通した周辺環境の認識に関わるものであり、本研究は感覚的認識の歴史性・文化性を問うものでもあります。これは、視覚と味覚の歴史的変化に焦点を当てたこれまでの研究を発展させ、感覚的認識や経験をより包括的に扱うもので、学際的・文理融合的研究の礎となる分野と考えています。

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